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【Asterisk】電話設備をAsterisk 22に移行しました

この記事は、以下の注意事項をご確認頂き、ご同意を頂ける場合にのみご参照下さい。

注意事項

Asteriskを含む非公認ソフトウェアを公衆網に接続することについては、一般に公示されている情報を精査し、個々の環境において適法かつ適切にお取り扱い下さい。

注意事項

【ケース2】電気通信事業法における、「インターネットプロトコル電話用設備に接続される端末機器(E認定)」を経由して、サービス網とAsteriskを接続する場合

【ケース3】NTT東日本様及びNTT西日本様の公示する、「ソフトフォン適合検査に合格したソフトフォン」を経由して、サービス網とAsteriskを接続する場合

【一般に公開されている情報】日本国内での公衆網接続について

Asteriskで構成した電話設備を公衆網接続するまでの情報収集において、当社が参照させて頂いた公開情報のページを、以下に列挙させて頂きます。

【NTT東日本様】適合検査に関する公開情報

【NTT西日本様】適合検査に関する公開情報

【総務省】情報通信審議会 情報通信技術分科会 IPネットワーク設備委員会 技術検討作業班(第23回)

【Voip-Info.jp様】ひかり電話対応

当社の電話設備について

はじめに

前置きが長くなってしまいましたが、当社の業務で使用している電話設備を、オープンソースソフトウェアのAsterisk 22へ移行いたしました。

Asterisk 22は2024年10月16日にリリースされた最新のLTSであり、2028年10月16日までSecurity Fixが提供され、EOLは2029年10月16日までの予定となっています。

言わずもがな、Asteriskは世界中で広く利用されているIP-PBXのソフトウェアです。日本国内でも大規模コールセンターからエンタープライズまで多数の運用実績があり、ベンダー各社が提供する著名なIP-PBXソフトウェアのベースとしても採用されています。

当社でのAsteriskの取り扱い

これまで、当社では業務用の電話として某国内メーカーの電話設備を使用していました。Asteriskやその他のIP-PBXはといいますと、Asterisk 18を専らQoSの動作確認やトラフィックフローの検証、エンドユーザー様向けのトラブルシューティングなど、構築作業時の動作検証や環境再現に利用している程度でした。

移行のきっかけは2025年2月に使用していた国内メーカーの電話設備が老朽化し、内線電話機の内1台が故障してしまったことでした。既にメーカーでは部品を含めた全ての供給や修理受付が終了していたため、設備として可用性を維持することが困難な状況です。

そこで、検証設備として安定稼働している実績があり、使用や運用について少ないながら素人なりのナレッジを有しているAsteriskを、業務用としても運用することを計画します。

実際のところ、各社様から当社へのご連絡は各担当者の携帯電話へ直接頂くことが多く、業務で0AB-J番号の発着信に対して高度な機能や構成が求められないなど、あまりクリティカルな運用となっていませんでした。

このため、検証の用途などで使用していたAsteriskに対して、多くの追加や改変を施さなくとも業務使用で使用する機能に不足が無いと考えられたことが、国内メーカーの電話設備からAsteriskへ移行することへの大きな事由となりました。

その後、Asterisk 18は2025年10月20日にEOLを控えていたため最新LTSの22.xで再構築し、これまで国内メーカーの電話設備で使用していた機能と同等の動作を実装可能であること、当社が0AB-J番号を契約しているNTT東日本様への接続要件を満たすことなどの確認を含めた、各種試験を実施しました。

しかし、当社の環境では16.xの時点で非推奨となっていたapp_macroを、多くの実装へextenで使用してしまっていました。13.xから18.xへ更新する際にきちんと書き換えをするべきだったのですが、ここが素人運用の恐ろしさで、わざわざ非推奨なモジュールをコンパイルしてまで継続使用してしまっていました。

Asterisk 21で既に削除されているため、22.xへの移行と併せて地道に書き換えを実施。一部ではGosubで代替できないものもあり、これらの修正や確認に結局は相応の時間を割くことに。問題を先送りしてきた、これまでの杜撰な運用管理のツケを払いました。自戒も込めてAsteriskを利用されている皆様へお伝えさせて頂きたいこと、それは「先ずはAsterisk Projectの公式ドキュメントをちゃんと読みましょう」に尽きます。

  • ※ 筆者の個人的な見解ですが、Asteriskに限らず、オープンソースソフトウェアをサポート契約などが伴わない「自己の責任範囲」で、特に商用で使用する場合には、運用しているバージョンから更新先のバージョンまで公式のリリースノートやドキュメントを参照する程度のことは、使用者として最低限の責任的行動だと考えています。
  • ※ 冒頭の注意書きに当社ではAsteriskそのものに関する業務を提供していない旨を記載しておりますが、エンタープライズやコールセンターなど、VoIPの使用へ適合するネットワークの役務については、多くのご用命を頂戴しております。Asteriskはこの役務に向けた検証用の設備として定常的に運用しておりました。

【自社設備】Asterisk 22とIP電話機の構成

当社が運用するAsteriskは、KVM上で仮想化したサーバーのDebian 12に構成しています。音声通話の動作に直接影響しない、細かなハードウェアや構成は省略させて頂いていますが、設備全体の概要は下図のようになっています。

【外線の接続】ひかり電話を直収

外線はAsteriskから網側のサーバーへPJSIPの直接RegisterでTrunkingしました。また、電話設備に関連する役務や将来の構成変更などでAsteriskよりも上位(ONU直下)からISDN、アナログ等のインターフェースで外線の分割使用が必要となった場合のため、ひかり電話アダプタ(OGシリーズなど)を介した動作も確認済みです。(※繰り返しになりますが、必要な手続きを経て適法に接続しています。)

IP電話機については検証で使用していた端末の一部から、当社で安定稼働と操作性に実証を得ている機種を業務使用に転用しました。

【固定電話機】Cisco IP Phone 8865

お馴染みCisco IP電話機。10個のSIPアカウントとビデオ通話に対応します。MPP FirmwareはCUCMなどでの運用とはまた違った取り扱いが必要ですが、大規模展開にも適した配慮がされています。

【固定電話機】Grandstream GXP2170

12個のラインキーと6個のSIPアカウント、カラー液晶でビデオの受信に対応します。

【コードレス電話機】Grandstream WP820

Wi-Fiでワイヤレスに使用可能なコードレス電話機。2個のSIPアカウントとカラー液晶でビデオの受信にも対応しています。Grandstream社のWi-Fi Cordlessは、これまで弊社で実施した検証でもIPネイティブなコードレス端末として有効なパフォーマンス確認しています。

これらの端末とAsterisk 22併せて電話設備を構成し、既に商用稼働を開始していますが、現在まで電話設備としての機能や通話品質の不具合、セキュリティ上のトラブルやインシデントも発生せず、安定的に運用ができています。

【留意事項】設定値や技術情報の公開について

冒頭から繰り返しになってしまいますが、当社で構成した電話設備(Asterisk)はNTT東日本様へ適切な手続きを経て適法に接続しています。しかし、各方面との協議から、この設備の設定値や技術情報を公開することが、「同様の設定値や実装にすれば、他の環境でもAsteriskを任意または同一の手続きで使用できる」との誤認を招き得ると判断しているため、大変恐縮ですがこれらの情報は一般公開を差し控えさせて頂きます。

オープンソースソフトウェアを利用させて頂いているものとして、コミュニティへの貢献やナレッジの共有といった概念にそぐわないことは大変心苦しいのですが、悪しからずご了承くださいますようお願い申し上げます。

まとめ

いかがだってしょうか。

設定値や技術情報など多くの情報が開示できないため、あまりご参考にして頂けないかと思いますが、当社のように最新の22.xでAsteriskを商用運用し始めているユーザーも存在していることをお送りさせて頂きました。

実際に運用を始めてみて、やはり国内メーカーから供給され広く利用されている日本独自の電話設備と比較すると、日々の使用感やオペレーションが異なる点が多々あります。この内容やオープンソースソフトウェアとして抱える固有の懸案についても、今後機会があれば取り上げたいと思います。

この記事が、ご覧いただいた皆様へ少しでもお役に立てば幸いです。

  • ※この記事は各事業者様及び公的機関、そして各メーカー様や開発者様の正式な見解を示すものではありません。
  • ※この記事に含まれる情報については、その内容について当社として何らの保証をするものではありません。
  • ※この記事に含まれる情報を利用したことに起因する、利用者又は第三者が被る直接的及び間接的損害に関して、当社はその責任を一切負いません。

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